長胸神経麻痺は鍼灸治療で起こるのか?

世田谷区 上北沢の鍼灸院 Five Elementsです。

 

私も最近聞いたのですが、どうやらある野球の選手が長胸神経麻痺になってしまい、その原因が鍼灸治療だと言われています。

ただ、これに関しては私も色々読んでみましたがほとんどの鍼灸師が私と同じことを思っていたようです。

 

鍼灸治療で神経は傷つくのでしょうか?

まず、これ自体はよく聞かれることなのですが、YesかNoで答えると可能性はなくはないです。

ただしそれは本当に本当に特殊な注射針以上の太さの鍼を使った場合です。

ほとんどの鍼灸院ではそんな鍼はありません、当院も太めの針は使用しますが、それでもそんな針は使いません。

鍼灸の鍼というのは一般の人が刺そうと思っても刺さらないほど柔らかく細いのです。

力任せに押してもしなって曲がってしまうだけです。

長胸神経という名前が付いているということは、それなりに太い神経なのですが、それでも1cmもないと思いますし太くても数mmでしょう。

神経っていうのはゴムチューブみたいな硬さがあり、刺そうと思ってもそう簡単に刺さるものではありません。

ある程度の弾力がないと千切れてしまいますし、そうなったら体が動かなくなってしまうので丈夫に作られていて当然ですよね?

さて、皆さんは5mm(これが神経の太さとは限りません)のゴムチューブに裁縫の針を刺すことができますか?

多分それだけでも難しいんです、鍼灸の鍼というのは裁縫の針なんかよりも全然細いんです、髪の毛程度の太さの鍼をその神経に刺すことができるのでしょうか?

まず、物理的に困難だと思うのが本音です。

 

神経って刺さっても痛くないの?

ここが一番の問題だと思われるのです。

それでは万が一クリーンヒットして神経に刺さったとしましょう。

その時に何も感じないと思いますか?

普通に鍼をしていても腰部や臀部、膝などに鍼をするとほんの僅かにかすったり、近くを通るだけでも電撃様のビリビリとした感覚が起こり声が出てしまうほどです。

こういう感覚があったとしても神経は傷ついておらず、ましてや後遺症なんて滅多に起きません。

もし起こったとしてもそういう神経ならある程度修復されるでしょう。

それでは麻痺が起きるほどの傷をもし神経につけるとしたら・・・

そんな一瞬でなんてつかないと思うんです、鍼で持続的に神経を刺し続け、がっつり刺さりでもしない限りは難しい。

その痛さに本人が気づかないはずは絶対にないんです。

以前、私の知り合いの鍼灸師で、練習でそれこそ注射針ほどの太さの鍼を刺した時に神経を傷つけてしまったという人がいました。

その人はその瞬間にものすごい痛みを発しとても耐えられず気を失うかと思ったと言っていました。

それほどの痛みを発しないと後遺症が残るほどの傷なんてつかないと思いますし、そうなったら本人は必ずわかります。

医師が調べた結果鍼灸が怪しいなんていう前に絶対に本人がその場で気づくと思うんです。

 

長胸神経ってどこにあるの?

長胸神経というのは首から鎖骨の内側に入り肋骨(肋骨近くの前鋸筋)に沿って下に降りていきます。

さて、ここでもう一つの疑問があるんです。

通常肋骨近辺は肺がある部分なので、通常の鍼灸師ならそこによほどの理由がない限り鍼なんて刺しません。

それこど前鋸筋に何かしら疲労があってここだとスポット的に使うとしてもものすごく気を使って少しでも怪しいと思ったら鍼を抜くと思われます。

理由は気胸が怖いからです。

肋骨に当たればいいのですが、肋骨の間に入ってしまったら穴が空いてしまいますからね。

そこに注射針くらいの針を入れて激痛が出ているにもかかわらず障害が起きるほど鍼を神経に刺すか・・・・・

もう限りなく100%に近い確率でNOです。

本人にやってくれと言われてもやらないでしょう。

肋骨の間の数mmの神経なんて狙えるものでもないですし、そんなの狙って気胸になって鍼灸師人生棒にふる鍼灸師なんて・・・・・・いないのではないでしょうか。

 

長胸神経麻痺ってどんな症状?

別名リュックサック麻痺なんても言われます。

リュックサックのベルトが当たる位置にちょうどあり、圧迫され続けると腕が上がらなかったりするのです。

ただ、それでも1−2ヶ月程度で圧迫をやめれば治ったりします。

 

選手の長胸神経麻痺はなぜ起こった?

これは私の見解でもあり、他の方もおっしゃっているのですが・・・・・・・

オーバートレニングではないでしょうか?

その選手は野球選手にしてはかなり追い込んだトレーニングをされていたようなことが見受けられます。

筋肉が増えると体の内部には圧迫される部分が出てきます。

神経は筋肉に圧迫されると麻痺を起こすことがあり、実際に私も起こしたことがあります。

この選手が長胸神経麻痺になったのは2月27日だと言われています。

それからこんなに長い間麻痺し続けることがあるとすれば傷ではなく圧迫によるものだと考える方が自然だと思うのです。

この件に関しては医師でさえ疑問に思っている方が多く、鍼灸師業界としても公開質問状を出している状況のようです。

質問状には直接教えて頂いた先生の名前も連ねられており、その先生は東洋医学というよりは西洋的な見方で教える先生でした。

その方も疑問に感じているということは・・・やはり違和感を感じている人が大勢いるということでしょうね。

万が一鍼灸のせいにした方が都合がいいということでこういうことになっているのだとすれば。。。鍼灸の信用問題になるということを考えて欲しかったなと個人的には感じます。


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